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「自分が歩んできた道を、自分の言葉で肯定できた」

この春から、小学校の保健体育の先生としてのキャリアをスタートする栗田優美さん。高校1年生から6年半もの間、1on1 collegeを利用し続けてきました。栗田さんはこの経験を「自分が歩んできた道を自分で肯定させてくれた時間」と語ります。興味本位で始まったという1on1が彼女にどんな影響を与えたのか。これまでの道のりを振り返ってもらいました。

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栗田 優美

​大4​​

<1on1 collegeとは>

高校生・大学生向けに月1回、1時間、社会人メンターとのオンラインでの1on1を無償で提供しています。
1on1は、なんでも話したり、考えることができる場です。進路や就活について考えたり、最近興味のあることや悩んでいることを整理したり、自己理解を深めるために活用している学生もいます。様々な角度から質問をもらいながら、たくさんのことを「言語化」することで、自分の価値観、行動、目標や課題、優先順位が「整理」され、次の自分の「選択」が最適化されていくと考えています。

体験1on1はこちらから:https://www.1on1college.com/start

きっかけは興味本位​​​​​​​​​​

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━━ 6年半の1on1、お疲れ様でした。終えてみていかがですか?

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始めたばかりの頃に何を喋っていたか思い出せないくらい(笑)。本当に長く続けたなと思います。興味本位で始めたものだったので、6年半も続いたことに自分でもびっくりですね。

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━━ 最初は興味本位だったんですね。

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そうなんです。1on1 collegeの代表の長谷川さんが、私の高校に説明に来てくださって。どういうものなのかあまりイメージは湧かなかったんですけど、周りの友だちが「やる」って言ったので、「じゃあ私もやってみようかな」くらいの軽い気持ちで始めました。

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━━ 実際に始めてみて、いかがでしたか?

1ヶ月に1回、メンターの長谷川さんと話すことで、頭の中が整理されたり、次の1ヶ月をどう過ごしたいかが明確になったりして。淡々と過ぎていく学生生活の中で、立ち止まって考える時間が生まれたという感じがします。でも、「続けよう」と明確に意識したことはなくて。気づいたら1on1 collegeが日常の一部になっていました。

 

━━ 当時はどんな話をしていたんですか?

月によっていろいろでしたね。「今日はこれを話そう」っていうテーマがある時もあれば、話すことを事前に用意していない時もありました。

 

こちらがテーマを用意していなくても、長谷川さんが掘ってくれていました。印象に残った学校での出来事とか、先月話していたことの続きとか。いろんな話題を振ってくれるので、話しをしていくなかで、淡々と過ぎたと思っていた1ヶ月も意外といろんなことがあったと気づくことも多かったです。

 

私が当たり前に話していることに対して、「それってなんでなの?」と聞いてくれることも多くて。その疑問を自分の中で噛み砕いて話していくうちに、自分の原動力に気付けて、自己理解につながっていったなと思います。

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問われて気づいた、自分の特性​​​​​​

━━ たとえばどんな気づきがあったんでしょう。

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すごく印象に残っているのは、私のリスク回避能力が高いっていう話になったことです。その時に、すごくハッとしたというか。確かにそうだなって納得したんです。

━━ リスク回避能力が高い?

私の行動の原点は、1番最悪な想定を考えてそれを避けるっていうことなんですよね。
 
でもそれって、一人じゃなかなか気づけないことだと思っていて。私にとって、リスクを回避するっていうのは当たり前のことすぎて特別なことだと思っていなかったんです。でも、長谷川さんに「それってすごいことだよ」って言ってもらって初めて、それが自分の特性なんだって気づけたんです。

 

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━━ 自分の特性を知れたのは、栗田さんにとってどんな意味がありましたか。

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リスク回避能力が高いっていう特性が知れたことで、今まで無意識に避けていたものがなんなのかを考えられるようになりました。「自分はこういうことが嫌だから、そうならないために今はこれをするべきなんだ」みたいな感じで、行動の目的が明確になってモチベーションにつながったなと思います。

━━ たとえば、どういうことでしょう。

大学3年生のときに、教員採用試験があって。通常は4年生で受けるものなんですけど、私たちの学年から3年生でも受験できる前倒し制度が始まったんです。
 
今年結果が出なくても、来年もう一度チャンスがあるという状況だったので、全然勉強に身が入らなくて。大学1年から続けてきたダンスサークルの公演も試験の時期とかぶっていたりして、公演に出るべきか、諦めて試験に集中するかを葛藤していました。
 
その状況を1on1で長谷川さんに相談したら、「じゃあどういうパターンがあるか一緒に考えよう」って言ってくれて。公演に出て試験に受かるパターンから、出ずに試験に落ちるパターンまで、全部のパターンを想定したときに、公演に出ないで試験にも落ちることだけは絶対に避けたいって思って。公演に出て試験に落ちたら、それを言い訳にできるけど、出ないで落ちたら、「やっぱり出ればよかった」って絶対に後悔するって思ったので、公演に出る決断ができました。

━━ 普通だったら「公演も出たいし、試験も受かりたい」と思う人が多そうだけど、栗田さんの場合は最悪なケースを想定して、それを回避することがモチベーションになったんですね

そうなんです。避けたい状態が明確になったからこそ、気持ちがスッキリしたというか。「だったら公演に出て、もし試験に落ちてもそれを言い訳にします!」って開き直れて、結果的に試験勉強にも取り組むことができました。
 
結果は、無事に合格。一番いい結果になってよかったなって思います。

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宣言が後押しに。なりたい自分へ一歩を踏み出す​​​​​​

━━ 1on1 collegeを続けてきたことは、栗田さんの人生にどんな影響を与えたんでしょう?

私の場合は、1on1 collegeと出会う前からずっと教員になりたいと思っていて。だから、1on1のおかげで将来の夢が見つかったとか、そういうことではないんです。けど、長谷川さんとの対話の時間があったから、自分の選んだ道の根拠を理解して、自分の言葉で話せるようになった。

この道選んでよかったって思えるようになったのは、1on1のおかげだなって思います。

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━━ もともと選ぶ道は決まっていたけど、自分の選択に対して自信を持てるようになったのが1on1 collegeの効果だったんですね。

やりたいことはある程度決まっていたけど、迷うこともあって。そういう時に、口に出して長谷川さんに宣言するというか。自分1人で考えるより、誰かに伝えた方が「言ったぞ!」って思える。1on1は自分の決意を強める意味もあった気がします。​​

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━━ なるほど、意思決定をする場ではなくて、自分の決意を強める場としても1on1 collegeを活用していたんですね。

強めるというよりも、納得するっていう要素が強いかもしれないです。ある程度、自分の中で決まっていることでも、それを言語化することでちゃんと自分が納得できるというか。自分の言葉で話したことを、自分の耳で聞いて、第三者的に理解している感覚もあって。自分の言葉を聞いた時に、「自分ってこんなふうに思っているんだ」って改めて認識できる場だったなと思います。

 

あとは、なかなか行動できていないことに対して、「私はこうなりたい」って口に出して言うことで、「そうだよな、自分はこうしたいんだよな、頑張ろう」って改めて思うきっかけにもなっていて。今思うと、自分を探す時間でもあったし、それを整理して口に出すことで、有言実行するぞっていう気持ちを後押ししてくれる時間でもあったなって思います。

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━━ 具体的にはどんなことを宣言していたんですか?

たとえば、コロナ禍のときは「本を読めるようになりたいです」っていう話をして。長谷川さんに宣言すると「じゃあそのために何をする?」と聞いてくれるので「図書館に行きます」って話をして。

 

宣言したことを実行しなくても、長谷川さんは絶対に怒ったりしないし、評価もしないんです。けど、私自身が真面目な性格なので、自分で言ったことは守りたくなる。だから、口に出して言っちゃえって思っていました。

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6年半続けられた理由とは

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━━ 6年半も続けていると、ずっと同じ熱量で1on1に取り組むことって難しいんじゃないかなと想像します。モチベーションが下がる時期や、話したいことがない時期もありましたか?

コロナ禍は本当に話すことがなくて。アニメの「名探偵コナン」についてひたすら話していた時もありました。でも、どんなテーマでも長谷川さんはしっかり聞いてくれましたね

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━━ そんな時期もあったんですね。話すことがないことに対して、プレッシャーに感じることはなかったですか?話すことがない時期も続けようと思えたのはどうしてなんでしょう。

どんな話であっても、長谷川さんが同じテンションで聞いてくれたからかな。話すことがなくても、何か話さなきゃっていうプレッシャーが本当になくて。1on1をすること自体に全くストレスがなかったから、これだけ長く続いたのかもしれないですね。

あとは、長谷川さんが私という人間に対して、本当に興味を持って質問してくれていると感じられたんですよね。だから私も、遠慮することなく自分の話をしたいと思えたんだと思います。

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━━ 1on1 collegeを長く続けたことは、栗田さんにとってはいいことでしたか?

よかったなと思います。これだけ長い間何かを継続できたっていう自信にもなりました。途中で辞める人もいる中で、続けてこられたっていうことは、「私は言語化して話すことが好きなんだ」っていう自己理解にもつながりました。

━━ これから小学校の先生としてのキャリアがスタートするけれど、先生になったら生徒たちに1on1 collegeを勧めたいと思う?

勧めてあげたいなって思います。自分は教員という立場なので、どうしても生徒と教員という関係性になっちゃう。生徒にとっては、教員に話したら自分の親にその内容が伝わっちゃうんじゃないかって心配になることもあると思うんです。

でも、1on1 collegeなら、教員と生徒とか、親と子どもとか、そういう関係性がないからこそ、言いやすいことがあるだろうなって思うので。思っていることがあるけど、私には言いづらそうだなって思う子に勧めてあげたいなって思います。​​​​​​

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なんでも話せて、味方でいてくれる不思議な存在​​​​​​​​​​​

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━━ 先生でも親でもない存在が1on1 collegeのメンター。栗田さんにとっても、長谷川さんはそういう存在だったんですか?

そうですね。長谷川さんは、偏見を持っていない味方みたいな存在で。自分の普段のコミュニティーと全く関係ないからこそ、何でも話せて、味方でいてくれるような存在だなと思っていました。

家族や友達も大好きだし、みんな優しいからこそ、気を遣ったり言いづらかったりすることもあると思うんです。1on1 collegeの利用を考えている人には、「今あるコミュニティー以外にもうひとつ、なんでも話せる人がいるって、素敵なことだよ」ってことを伝えたいです。

━━ 1on1 collegeを続けてきたことが、教師をやる上で生きる部分もありそうですか。

自分で言語化することの大切さを学んだからこそ、生徒が自分の言葉で話す機会を大切にしたいです。たとえば、跳び箱の授業の時に生徒がうまく飛べたら「なんで上手にできたと思う?」って聞いてあげる。何がよかったのかを自分で気づいて言葉にするきっかけをたくさんつくってあげたいなって思います。

━━ 最後に、栗田さんにとって1on1 collegeとはどんな場所だったんでしょう。

自分が選んできた道を自分で肯定させてくれる時間だったと思います。1on1 collegeで自分の選んだ選択の根拠をたくさん話してきたからこそ、この先もしも教員を辞めたいと思うことがあったとしても、教員になったことを後悔することはないと思う。「あの時自分が教員になりたいと思った気持ちは本当だった」って納得できると思うんです。​​

 聞き手:高井瞳

(2025.3.23、学年は当時)

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