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山田 宙

​大学3年生

​「わからないことってめちゃめちゃおもしろい」

―今日もだけど、いつも笑顔なのが印象的だよ。

 意識してではなく、自分がそれが楽しいっていうのがデカイですね。自分が楽しんでる=自分の目の前の人たちも巻き込んで楽しめる、みたいな考え方が強くて。こういうふうに1対1でしゃべるときも。無意識です。


 

―今、大学3年生が終わろうとしているわけだけど、なんだかんだラボ*をいっぱいやった大学生活なんだよね。

 そうですね。結局、ラボ※19年目にして、いちばんラボをやった3年間を過ごしてきている感じです。

大学の友達とも会いますけど、やっぱり一緒に(キャンプを企画・運営する)コーチをやっているメンバーとは毎週月曜日に2時間半話すし、会議以外の時間でもスカイプで話すこともあって、やっぱ共にする時間が長いから自然とお互いのこともよく見るし、仲良くなるし。やっぱり、僕にとってはキャンプですね。キャンプ現地での経験。

 コーチとして初めて現地に入った大学1年生のサマーキャンプは、あっという間に過ぎて終わったんですけど、その年のウィンターキャンプに向けて会議も始まって、そのキャンプも現地のコーチに選んでもらって、高校生リーダーやキャンプ参加者みんなが楽しそうにしている姿を見て「コーチいいな」って、より思うようになったというか。

※ラボ:ラボ教育センターが提供する、言語教育を主とした表現活動、国際交流、キャンプなどの教育プログラムの総称。


 

―コーチとしての熱はどんどん上がっていく一方だったわけだ。

 熱は高かったですね。そのあと、選考に漏れたり怪我をしたりして、キャンプに入れなかったのは悔しかったけど、コーチ活動への熱は、自然と企画書を出すなど行動にも出ていたかな。そのころ、同じコーチ仲間から、僕は大雑把というかざっくりなところがあるから、もうちょっと全体を見て、キャンプの全体案とか大きなものにも挑戦してみたらという話をされたので、自分でも全体案を立ててみようと。楽しかったですね。自分がやるんだっていう使命感。

 大学2年で腕を骨折して入院していたあいだも、病院からスカイプ会議に参加したり、退院して直ぐに会議に行ったり。会議の中で責任ある立場になったこともあって、それまではキャンプの現地に行くことばかりが楽しかったのが、「会議好き」寄りになっていくというか会議も好きになっていきましたね。コロナ禍のなかでした。

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―改めて聞いて思ったけどさ。自分が活動にどんどんのめり込んでいって、新しい楽しみ方も見つけて、さあこれからだってタイミングで、コロナでキャンプができなくなった。いまもその状況が続くわけだけど、あんまり暗い話にはならないよね。

 そうですね…。いま昼という時間帯だからな気もする。夜、電車に乗っていると思い出して泣きそうになったりします。でも、キャンプができなくなったことより、ラボ卒業までのイベントがどんどんなくなっていく4年生を見ているほうがしんどかったかも。卒業式も修了式もできずに、あの人たちにとって終わりの2ヶ月が真っさらになった4年生の顔を見ていたらもう…。

 

 それで、目の前のキャンプがなくなったなら遊ぶしかないと思って、もういろんなところに行って遊んだんですよ。とにかく遊んで楽しい思い出に切り替えることでダメージは大きくなかった。ただ、僕はコーチとしてキャンプに入った経験はあっても、今年の1年生は会議ばっかりで、キャンプ本番でのコーチをまだやっていなくて、この先のスプリングキャンプもなかったらと想像するといたたまれない。

 だから今回のウィンターキャンプも、キャンプ自体はなくなっちゃったけど、急ピッチで全員で準備したプレキャンプ(準備会)を開催できて、コーチのひとりに「2020年のコーチ会議のなかでいちばん達成感があった」と言ってもらえたことはよかったです。


 

―いまはなにしてるの?

 いま、キャンプの中止が続いて全員のモチベーションが下がっていることをひしひしと感じているんですよね。だからこそ、これから予定されているスプリングキャンプは新しい取り組みをやってみようとしていて。いま、本格的にオンラインキャンプを始めようとしてるんです。僕は結構それに期待していて。いままで出ていたアイデアは、コーチだけ現地のキャンプ場に行って、GoProとか使って参加者目線でキャンプ場を実況中継する。普段、キャンプ参加者がたくさんいるときには安全上の理由から行けないようなところも、コーチだけなら行けますよね。キャンプ場の奥地にかき分けて入ったり、ハイロープ(空中のアスレチック)にGoProを付けてみるのもおもしろいと思うんですよね。

 3月までのモチベーションはそこですね。いかにおもしろいオンラインキャンプをやるか。

 ことしの夏に、インスタライブでキャンプの開営式をライブ配信したとき反応が直接返ってくるのがおもしろかったので、ライブ配信すれば、みんなのコメントもその場で読めるし、参加感出るし。ライブ配信がここまでネット文化として浸透してきたことを逆手に取ったほうが確実にいいと思います。この、コロナだからこそオンラインキャンプができるよねって。

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―この1年を振り返って、1年前の自分を思い出して変化を感じることってある?

 

 もともとポジティブなので根拠のない自信を持つのはすごく得意で、だけどそれが根拠のある自信というか、すごく苦手としていた論理的な自信がついたのが大きくて。たしか、初めて(メンターの)長谷川さんとお話ししたときに、何度も「なんで」を聞かれたんですよ。そのときに、これまで自然と親の目とか、周りの目ばかりを気にするクセがあったことに気づいたんですよね。そういうことを理解したことで「自分はどう考えているのか」にフォーカスを置くことができるようになりましたね。

 まだ全然足りないところもあると思うんですけど、1年前よりは自己判断で考えられるようになったことが大きかったかなって。

 あと、僕はこれもついクセで「良い」「悪い」を偉い人の視点に立って考えちゃうことが多かったけど、世の中、それで決められるものは全然なくて、どんなことも良い部分と悪い部分がある。その判断をしていくのは、やっぱり自分なんだってことにたどり着いたというか。自分がどうしたいか、自分が満足いく判断、「自分」に目を向けられたのは大きな変化だと思うところです。

 

 僕、一生、自分のことを理解しきることはできないと思ってるんですよ。自分自身のことを完全に理解することができないから、なおさら人のことを理解するのなんて到底難しい。だからこそ、自分のことを知るのが生きている中では大事な部分。自分ってどういう人なの、自分ってどういう面があるのって知るのは大事だと思うんですけど、それに対して一歩近づけたというか。1年前よりは自分自身を理解することに近づいたかな。ゴールはないけど、一歩進んだ感覚が大きいですね。


 

―自分のことを理解し得ない、他人のことなんてもっと理解し得ない。だから、自分のことを知るのが大事なんだ、その「だから」をもうちょっと説明してもらえる? 自分のことを理解するのはなんで大事なことなのかを。

 わからないことってめちゃめちゃおもしろいじゃないですか。自分がいちばんわからないから、自分を知りたくなるというか。わからないから自分を知りたくなるし、もっと人のことを知りたくなる。だからこそ、僕は人に興味を持つし。できるだけこの世の多くの人のことを知りたいんですよ。

 こういうふうに会話の中で自分の活動を振り返って人に話すことで、自分のことを知れることも知った。一生わからないと思っていたけど、わからないからおもしろいって気持ちも生まれたし。わからないのは当たり前だから、たくさん聞きたくなる。たくさん知りたくなる。誰かが生まれてから死ぬまで触れなかった人に、僕は触れて知れた。だからいろんな人に出会いたいです。

 それの原点は、やっぱりキャンプですかね。小学3年生くらいからキャンプに行ってましたけど、とにかく全員のことを知りたかったし、全員と話すことが、毎回、僕にとってのモチベーションだったし。

 人と会うことは、自分の想像を超えられるというか。こんな人いるんだって思うのが楽しかったんだと思います。初めて会う人との出会いは、めちゃテンション上がりますよ。

(2021.1.14、学年は当時)

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