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「一度も対面で会わない関係でいるのが、ちょうどいい」

この春から、国際基督教大学(ICU)に進学して新たな学生生活をスタートさせる上村百代さん。中学生のころから日本の学校教育に違和感を抱き、国内留学や通信制高校への転校など、身軽な選択を重ねてきました。
周囲からはその行動力を評価される一方で、内心では「自分には何ができるんだろう」と疑問や迷いがあったと語ります。
高校2年生で1on1 collegeと出会い、毎月欠かさずメンターとの1on1を続けてきた上村さん。彼女が1on1を通じて見つけた自分なりの答えと、これまでの軌跡を聞きました。

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上村 百代

高校3年生

<1on1 collegeとは>

1on1 collegeは、高校生・大学生が、自身の選択を最適化するためのツールです。社会人メンターが、1時間のオンライン1on1ミーティングを、無料・回数無制限で提供しています。1on1は、なんでも話したり、考えたりできるツールです。進路や就活について考えたり、最近興味のあることや悩んでいることを整理したり、自己理解を深めるために活用している学生もいます。様々な角度から質問をもらいながら、たくさんのことを「言語化」することで、自分の価値観、行動、目標や課題、優先順位が「整理」され、次の自分の「選択」が最適化されていくと考えています。

体験1on1はこちらから:https://www.1on1college.com/start

マンモス校の違和感と、両親の言葉で気づいた「レール」の存在​​​​​​​​​​

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━━ 1on1 collegeを使い始めた経緯から教えてください。まずは、どんな学生時代を過ごしてきたのでしょう。

生まれは大阪の吹田市です。子育て世代がどんどん集まってくる地域で、私の通っていた中学校は1学年7クラス、今では11クラスもあるようなマンモス校でした。1クラス40人いて、ちょうどコロナ禍も重なったので、卒業アルバムを見ても誰が誰だかわからないくらい。希薄な人間関係の中で、「この街に居続けるのはしんどいな」と感じていました。

 

それに加えて、日本の学校教育に疑問を持ち始めて。通っていた公立中学は進学校の雰囲気が強くて、点数と偏差値が一番大事だとされていました。すべてをテストに結びつけられる教え方に、「偏差値が良いからなんなんだよ」と反発する気持ちがあって。

決められた教育を押し付けられるのは嫌だなと思って、別の教育システムについて調べるうち、探究学習に興味を持つようになったんです。

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━━ 中学生で教育の仕組みそのものに違和感を持つのは、なかなか珍しい気がします。何かきっかけがあったのでしょうか?

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親の影響が大きいですね。親自身、よい大学を出たものの、「選択肢を広げただけで、自分でやりたいことを選ぶ経験を一度もしていなかった」と話してくれたことがあって。

 

目の前にいる大人が、ただ決められたレールを歩んできたことに後悔しているのを見て、「このやり方は絶対じゃないんだな」と理解しました。だからこそ、今の自分に必要なものをちゃんと見極めるべきだという思考の癖がついたんだと思います。

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━━ なるほど。そんな考えをもって、高校はどのように選んだのですか?​

「地域みらい留学」という制度を使って、県外の高校に進学しました。そこでは四六時中、探究学習をしているような環境で。学校の先生だけでなく、地域コーディネーターやその地域に暮らす人など、多様な大人と出会う機会がたくさん用意されていて。生徒一人ひとりが自分の興味から行動する「マイプロジェクト」という取り組みもありました。​

━━ 「マイプロジェクト」というのは、具体的に何をするんですか?

自分の興味から、自由に行動してみるというプロジェクトです。私の場合、高1の秋に「暮らしの図書館」という活動を立ち上げました。いらなくなった本を集めて貸し出したり、絵本を作るワークショップを開いたりしました。

私自身小さいころから本が身近にあったので、読書離れをどうしても止めたいという思いがあって。暮らしの中に本が馴染むような提案をすることで、「本を通じた対話」の場をつくりたかったんです。

学校の先生も応援してくれて、生徒一人ひとりに興味を持ってくれることがうれしくて、1年目はとてものびのびと楽しく過ごせました。

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島での違和感と、「迷い」に向き合う姿勢​​​​​​​

━━ 「1年目は」、ということは、その後何か違和感が生まれたのでしょうか?

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少しずつ、島の教育体制への疑問が生まれてきて。「地域みらい留学」は、地方の廃校寸前の学校に外部から人を呼んで廃校を防ぐ取り組みという側面があります。その学校では、新しく中学生を呼ぶための学校PRを、生徒自らが行う強みがありました。

そのおかげでプレゼン力はつくのですが、次第に「生徒を呼ぶために、私たちが呼ばれたのかな」という不思議なサイクルを感じてしまって。それに、日々の授業も、全国から集まった生徒間の偏差値の振れ幅が大きすぎて、先生たちが授業をしづらそうにしているのが伝わってきました。

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━━ 自由や探究を求めて環境を変えたのに、そこでも壁にぶつかったんですね。

このまま3年間続けるのはしんどいなと感じるようになって、高1の終わり頃から転校を考え始めました。そんな時、高2のゴールデンウィークに、北海道にある「フォルケホイスコーレ」に参加してみたんです。

 

フォルケホイスコーレとは、北欧発祥の教育機関で、対話を通して自分の人生や社会について一回立ち止まって考えてみようという場所のことです。

 

そのプログラムに、たまたま1on1 collegeに携わっていた方が参加していて、「もしよかったら利用してみない?」と紹介されたのが、1on1を始めたきっかけでした。​

━━ そこで1on1に出会ったのですね。フォルケホイスコーレのプログラム自体はいかがでしたか?

参加者同士で対話をしたり、学校での悩みなどを発散する中で、「ネガティブな感情ってすごい大事だよね」という話をたくさんして。振り返ってみると、環境を変えている私の行動力って、全部自分が持っている「怒り」や「不満」が原動力になっているんだなって気づきました。​

一面を細かく見ていく1on1。怒りの対象のすり替えに気づく

━━ そこから、実際に1on1 collegeを受けてみて、どうでしたか?

不思議な感覚でした。いつも自分だったらここで考えて終わりというところの、その先を聞かれるんです。「なんでなの?」とか「それっていつからなんですか?」と、すごく細かく聞かれる。自分のことだからわかったつもりでも、言葉にしなければならなくなると、ちゃんと分かっていなかった部分が見えてきて。

 

たとえば私が「教育が嫌だ」と言ったら、「どうして嫌なのか?」と聞かれ、それに答えると「じゃあ、それはどうして嫌なのか?」とさらに聞かれる。自分の気持ちの一部を、顕微鏡で観察するような気分になるんです。

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━━ 細かく見ることで、何が見えてくるのでしょう。

私の場合は、怒りの対象が別のものにすり替わっていることに気づけました。高2の3月に、奨学金を使ってフィンランドとデンマークへ短期留学したんです。偏差値教育にも、高校での教育にも納得できなかったので、別の教育システムを知りたいなと思って。
 

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━━ 北欧といえば教育が進んでいるイメージがありますが、そこでもモヤモヤしたのですか?

結局はテストで評価される現実があって、授業の中で対話もあまり用いられていなくて、すごくモヤモヤしました。その話を1on1でした時に、「どういう部分に納得できないの?」と細かく聞かれて。話していくうちに、「フィンランドの教育システムではなく、学校の先生の態度に一番モヤモヤしていたんだ」と気づいたんです。​​​​

━━ 学校の先生の態度、ですか。

「フィンランドの教育は完成されている」「教科書が十分良いものだから、自分たちはテストをつくるだけでいい」というような、先生たちの自信満々な態度というか。教育に完成された状態なんてないのだから、自分たちが提供しているものを疑う視点は常に必要なはずなのに、その自信満々さに違和感をもってしまった。そういう、見過ごしていた小さな疑問に、1on1で話す中で気づくことができました。

適度な距離感だから話せること。「一度も対面で会わない関係」​​

━━ 色々な場所に飛び込んで多様な大人と出会っている上村さんが、毎月1on1を続けてきたのはなぜだと思いますか? ほかの大人と話すことと、1on1にはどのような違いがあるのでしょう。

シンプルに、やめ時がわからないというのはあります(笑)。でも長くやればやるほど、私が忘れている過去の話を引き出してくれる相手になっているんです。『それ、前も話したよね』とか『前も同じような状況に陥ってたよね』と過去のことをリマインドした上で、『改めて今はどう思っているの?』と問いかけてくれる。逐一私の感情や情報を覚えていてくれる相手って、めちゃくちゃ貴重だなと思って。

━━ 1on1の時間は、上村さんにとってどんな意味があったんでしょうか。

私、対話が好きで色々な人とお喋りするんですが、基本的には「聞く」方が好きなんです。相手が勝手にバーッと喋ってくれるのが好きで。でも、メンターの牧田さん相手だと、自分で生まれた言葉を一度も考えずに喋ることができる。不思議だなって思います。

 

牧田さんは、なんでもリアクションをくれる人で、ちっちゃいことから大きいことまで気づいたら喋っちゃうような存在です。私の言葉でうまく伝わらない時でも、どういうところが「私らしい表現」なのかを分かってくれる。ただすべてをわかった気にはならないというか、「その言い方はわからないけど」みたいに、妙にさっぱりしてる感じが面白いんですよね。

━━ なぜ牧田さん相手だと、自然と喋れるんだと思いますか?

直接会ったことがなくて、オンラインでしか会わない人だからなのかもしれません。このまま一度も対面で会わない関係でいるのがちょうどいいのかもしれないなって思います。

 

きっと、それぞれが別の場所で、パーソナルスペースを保ちながら話せるからなのかな。セーフティーだという前提があるから、リラックスして話せるのかなと。

 

ほかの場所でリアルに出会う人とちがって、1on1の場合は、やんわりと繋がって、ずっとその距離が変わらない。オンラインの利点というか、文通している仲みたいだなって思います。

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━━ 文通。たしかに。

私、文通が趣味なんです。高校の近くのカフェで働いていた年上のお姉さんや、高校の先輩などと、いまでも文通でやりとりをしています。LINEをマメに返すのが苦手なんですけど、手紙だと無責任に送るだけで済んじゃうから。その感覚に1on1は似ているから、相性がいいのかもしれません。

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依存先を分散し、自分なりの自由をつくる​​​​​​​​​​​​​​​

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━━ 高校に対して違和感を抱えていたというお話がありましたが、その後、高校生活はどうされたんですか?

高2の9月に、地元の大阪に戻って通信制高校に転校したんです。

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━━ そうだったんですね。どうして転校という決断に至ったのでしょう。

学校という小さな場所に、普通の勉強から、探究学習のサポート、日々のいろんな相談まで、すべてを詰め込もうとした結果、全部が中途半端になってしまったと感じたんです。

私なりに探究して考えた結果、一つの場所にすべてを求めるのではなく、「依存先を分散するべきだ」と気づいたんです。

━━ 依存先を分散する、とはどういうことですか。

学校には卒業資格だけを求めて、探究活動や日々の相談は、外部の大人にお願いするということです。

頼り先や逃げ道、心のよりどころをあちこちにたくさん用意しておく方が、選択肢が広がって、自由な状態をつくれると思いました。だから転校先も、学校に縛られすぎない通信制を選んだんです。それに、大阪に引っ越してからも、周りの大人を頼ったことで「暮らしの図書館」の活動を続けることができました。

━━ それは、これまでにつながりを持った大人たちがすでにいたからこそ、その人たちとのご縁を大切にしよう、ということでもあったのでしょうか。

本当にそうですね。最初に進学した高校での生活を通して、フィンランド留学を後押ししてくれた公営塾のスタッフさんや、よくお話ししていたカフェのお姉さんなど、すでにいろんな大人とのつながりができていました。だから学校という枠組みを外れて、これまでにできたご縁を頼りにしてみようと思ったんです。1on1 collegeも、私にとって大切な「依存先」の一つでした。

軽やかに行動できる理由と、「高校生だからすごい」という下駄への葛藤

 

━━ 転校や海外留学、通信制への転校など、人が躊躇してしまうような選択を身軽にされてきた印象があります。どうしてそんなに軽やかに行動できるのでしょうか?

 

実は私、環境に依存しちゃう部分があって。だから、まず環境を変えて自分を変えようと飛び込んじゃうんです。高校では、先輩たちがいろんなイベントを開いたり活発に動いていました。身近にロールモデルがたくさんいる環境だったからこそ、「あの人いいな」と思っているうちに、気づいたら自分も活動を始めていたという感覚です。憧れる人たちを見ていると、周りの目はあまり気にならなくて。

 

━━ 自分で環境を選び取ったからこそ、自然と活動が広がっていったと。外の世界に出ていく中で、「高校生なのにすごいね」と大人から評価される機会も多かったのではないでしょうか。そういう見られ方にはどう感じていましたか?

 

嬉しい反面、もう違う軸で見てほしいというか。その言葉に甘えちゃっている自分も許せないし、高校を卒業したらその下駄はなくなってしまう。自分の周りにはもっとちゃんとやっている人がいることも分かっているから、その言葉を素直に受けとれなくて、毎回どう返していいか迷うんです。

すべては「対話」で括れる。図書館も、本も、フォルケホイスコーレも

 

━━ 葛藤を抱えながらも、精力的に活動されてきたわけですが、1on1を通じて、ご自身の中で一番変化したこと、気づいたことは何ですか?

 

今まで自分はいろんなことに手を出してきて、まとまりのない人間だと思っていました。教育、居場所づくり、図書館、福祉……。でも、大学の志望理由書を書くときに自分の人生とにらめっこして、全部「対話」というキーワードで括れることに気づいたんです。

 

例えば、デンマークのフォルケホイスコーレで出会った人に「あなたが人見知りなのは、周りと趣味が合わなくて、自然と内気にさせられていただけかもしれないよ」と言われて、すごく新鮮だったことがありました。

 

━━ それはどんな風に新鮮だったのでしょう?

 

自分の過去を知らない人が、今の私を見て言葉をかけてくれる。そして、自分では思ってもみなかったような気づきをもらえる。言葉を交わすからこそ生まれるそうした気づきに触れたとき、私って本当に人と話すことが好きなんだ、と実感したんです。人と出会い、対話することの意義を強く感じた瞬間でした。

 

━━ 自分の立ち返る場所が「対話」だと明確に気づけたのですね。

 

はい。この春からICUに進学するのですが、大学でも対話を学び、対話が生まれるような場所づくりをしていきたいと思っています。だからこそ今の課題は「対話を手段にするか、目的にするか」ということです。フォルケホイスコーレは立ち止まって対話をして考える場所でしたが、対話そのものを大事にしすぎた結果、相手を否定してはいけないようなやさしすぎる空間になっていて、私の思う対話とは少し違うと感じました。

 

━━ 上村さんの思う対話とは、どんなものなんでしょうか。

 

相手にリスペクトを持つことは大前提ですが、お互いにきちんと向き合って、伝え合うこと。言葉には他人を変えうる影響力があるからこそ、時には意見がぶつかったり、相手を傷つけてしまうかもしれないリスクも孕んでいる。でも、その怖さから逃げずに踏み込んで意見を交わすからこそ、思いがけない気づきが生まれるはずで。

 

━━ 表面的なやさしさで意見を飲み込むのではなく、覚悟を持って向き合うことだと。

 

そうなんです。だから、ただ対話だけを目的に集まるのはなんだか怖いというか。教育など、何かしら共通のキーワードがあるコミュニティの中で、一つの手段として対話を用いながら、そこから自然と人生の深い話に発展していく。そういう形が、自分には一番合うのかなと考えています。

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物理的な箱ではない、人とのつながりという居場所づくりへ​​​​​​​​​​​​​​​

━━ それが、大学でつくっていきたい対話のあり方なんですね。​​​

 

はい。高校時代は「暮らしの図書館」という活動をしていましたが、物理的な箱を構えると、限られた範囲の人にとっての居場所にしかならないことが気になっていました。だから今後は特定の場所に縛られず、人とのつながり自体を居場所として盛り上げていきたいです。共通のテーマを持ったコミュニティで対話を重ねて、「自分が見えている世界が全てじゃない」と分かるような、物理的じゃない居場所づくりをしていきたいと思っています。

 

━━ そうした居場所のベースとして、ICUでの生活にはどんな期待を持っていますか?​​​

 

一番期待しているのは、教授や学生など、いろいろな立場の人との出会いと、そこで起きる対話です。学問を通して自分の仮説をいろんな人と共有し、それが彼らにどう映るのかを試してみたいですね。​​​

 

 

最後に、どんな人に1on1 collegeを勧めたいですか?

 

​​​話すことで考えを整理したい人や、自分一人だけで考えたくない人に向いていると思います。ひとつの選択肢の一つとして、1on1をぜひ使ってみてほしいなと思います。

 聞き手:田辺宏太

(2026.2.22、学年は当時)

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