「答えが出ない自分に

 ずっとイライラしてた」

安藤 和泉さん

TEDxYouth@Tokyo実行委員長

兼 腸内細菌の研究者

東京学芸大附属国際中等教育学校5年(高2)

在籍:2018.10 - 現在

#高校生 #TEDxYouth@Tokyo

#腸内細菌とアントシアニン

(聞き手:長谷川、学年はインタビュー当時)

安藤ちゃんの1つの特徴って「TEDxYouth@Tokyo(※)での実行委員長」と「腸内細菌とアントシアニンの研究」と、高校生活で力入れてる2つの活動内容が全くちがうことなんだよね。どっちの方が楽しいとか、あるの?

 

どうだろう。どっちの方が楽しいかというと、ミーティングで比べたらTEDの方が楽しい。やっぱり新しい人に会うっていう楽しみもあるし、自分では絶対にわからないことを習う機会があるっていう意味では、放課後にTEDxの予定が入ってる方が楽しみです。けど、振り返ってみたときに、研究は仲良い人とできて楽しいし、成果は研究の方が大きいので。

※TEDxYouth@Tokyo:アメリカ発祥の大規模講演会「TED」からライセンスを受け、世界各地で発足しているコミュニティの1つ。高校生年代が主催・登壇し、東京都内で毎年開催されている。

 

成果とは?

 

他人が評価できる成果というか。1年前の自分と今を比べたときに、スキルがどれくらい向上したかというと、たぶん研究の方が大きいと思うんですよ。知識も技術面も。まったくのゼロから始めるからっていうのもあると思うんですけど。

それぞれちがうおもしろさがあるんだね。

安藤ちゃんの場合、去年(2019年)の11月に自分が実行委員長を務めたTEDxが終わって、ひとピーク過ぎた。1on1での話題はTEDxのことが多かったわけだけど、そのTEDxが終わっても、1on1 collegeを継続しようと思ったのは何でだったの?

私は話すことで脳内整理ができる。脳内整理ができてない状態で、(1on1 collegeを始める)高1まで本当に苦しんでた。苦しんでて、整理されてない状態でずっと悩み続けて、答えが出ない自分にイライラしてたっていう時間が長すぎて。それがやっとできるようになったっていうのもすっきりしてたし。

あとこの前、お父さんと話してて気づいたんですけど、言語化するまで「考える」って成り立ってないよねって言われて。確かにそうだなって。だからここでの1on1ミーティングも、とにかく「考える」っていうプロセスなのかなって思って。それが自分のためにもなってるし、応用がいろんなところに効く。しかも自分のいろんな気づきに繋がるっていうのが、もうここまで来ると、これ辞めちゃったら、崩壊はしないけど、辛いだろうなって。(笑)

崩壊なんてしないよ。(笑)

でも普段からいろんなところにもいくし、他人と話して言語化する機会は日常的にあるじゃない。それとこれとはちがうの?

 

ちがいが2つあって。1つはここって日常生活がすべてを総合的に見て、その中でいろんなものを組み合わせてアウトプットしてるじゃないですか。他の人と話してる時には、その人に関係ある話しかできないから、脳内整理が進まないっていうのがまずある。だから、個々の会話で感じたことを総合的にここで話してる。その時間を設けるっていうのは私にとって大切なのかな。

2つ目は、日常では、意見の言い合いってあんまりしないじゃないですか。相手が何か言って「あーそうだね」みたいなことを言って、そこであんまり考えが進まないっていうか。新しい意見を出して、会話の中で新しい考えを構築したり発展させる場がない気がする。

出会って1年以上経つんだけど、この1年の変化ってどんなものを感じる?

長谷川さんは「好きを見つけてほしい」って言ってたけど、それを見つけることはできたかなって。第一段階としては去年(2019年)の春、これを通してTEDxに集中することを決められた。それに、話し合いながら自分について考えるっていうプロセスで、自分はこういう人だって、少しずつわかってきたのが大きな成果かな。とにかく脳内整理。脳内整理ができたから、できるようになったから、自分のことわかったり、好きなこと、やりたいこと、性格とか、自分にとって大切なものは何かがわかるようになって。

あと、日常的にふと考えがあったときに、その考えを大切にするっていう意識もついたかな。

 

もうちょい教えて?

 

ふと思いついたことがあって、その場で考えられなかったら絶対に手帳に書いておく。後でそれを見るときに、まだおもしろいと思えるかどうか。おもしろいと思えたらそれをちょっと考えて、それについてまた思ったことを書いたり。

 

それは自分のことが多いの?

 

自分に繋がることが多いかな。この人はこういうことをしてるとか、この人の習慣がかっこいいとか、こういうことを真似したいなとか。とにかく書き出して、あとでそこに戻ってくるようにして、しっかり考えてそこから何かしらの成果が出るようにするっていう習慣をつけることによって、最終的に、そこの考えが印象的だったら、それが何かの行動とか習慣に移ることもある。

 

今の話は嬉しいな。そういう自分のふとした疑問とか考えみたいなことを大切にする先に、より正確な自己認知が生まれると思う。

 

あと、多くのことにおいて、目的とか達成したいことを常に持っておくっていう意識が、これを通じて持てたのかな。何を思ったのか聞いてくれたり、実践したあとに振り返れたから。1日の目的を持つことでもいいし、1つのミーティングの目標でもいいし。とにかく目標があるだけで、できたときの達成感が、他のところで自分を支えるモチベーションになるっていう強みもある。すべての時間に意味を持たせることができるなと思って。

例えばそういう意識がないと、この前の夏の留学(アメリカ・コーネル大学の3週間のサマースクールに参加)も、その成果がないことになっちゃう。言語化できなかったら成果もないのと同じだろうし、自分にとっての位置づけもできないから、自分にも他者にも価値がないものになっちゃう。だからそういう意識を持てて、習慣の一部に取り入れることができたのも1つの成果かなって。

 

コーネル大学にいたときが、1on1ミーティングの頻度を一番上げたね。毎週話した。

 

そうですね。そのときは、大学で何を勉強したいかってずっと考えてて。自分にとって大きかったのが、ビジネスを勉強するっていうことが、思ってたこととちがったっていうか。それに気づけたのは大きかったんだろうな。

その気づきと共に、勉強するっていうことは何かとか、大学選びにおいての大きな気づきとか、人に話して、万が一自分が忘れてもいいように、他の人に話しておいて、「そういうこと言ってたよね」って言われるようにアウトプットしておきたいなっていうのがあって。それで親にも少し話したし、長谷川さんにも話したし、自分で記録できたので読み返すこともできました。

 

いつも書いてるよね。

 

書いてます。やっぱり書かないとダメかなと思ってて。元のノートはすごい汚いんですよ。もう絶対こういう風に書かないから、もうぐっちゃぐちゃで、縦でもないし、横とか斜めにも書いてて、読めない状況になるから、それをその日かその次の日までに全部整理して、要らないところは全部消して。っていうことを大体やってて。

 

そのプロセスをすごく丁寧にやってるんだね。

「自分を理解していく」のは、何に向かってるの?

 

ゴールはないです。前から身に付いていて、やっぱり「自分を理解するっていう大切さ」や「他の人と自分とのちがい」って大切だなって。自分はこういう人だって主張できる大切さを、自分の価値観として持ってる。

 

何で?

 

自分のことがわからない人はつまんないなっていうのもあるし、価値がそこで出せないと、人と付き合うのもつまんないなって。大学受験の影響もあるかもしれないですけど「何であなたをこの学校に入れるべきなの?」っていうときに、人って成果だけではないじゃないですか。アメリカの大学のエッセイだったら「あなたはどういう人ですか」って聞いてきたりするくらいだから。性格でも価値観でも、自分はどういう人だっていうことを理解することが、自分にとっても、他の人にとっても価値になるのかな。自分がどういう人なのかを言語化したいっていうのは、そこから来たと思います。

 

ははー。即答で言語化できているのはすごいと思うけどね。

 

おもしろいと思えるから。考えて、答えを自分が満足するまで考えるのが好きなのかな。

いやー、強いねー。おもしろい。

 

なんか、自己チューって言うか、英語で”selfish”と”self centered”ってあるじゃないですか。前はその2つが似てるって思ってて、自分はself centeredだけどselfishじゃないんだろうなって気づいて。self centeredっていうのは結構誰でもそうで、それを恥に思う必要はない。けど、自己チューでselfishになるなのはちょっとちがう。やっぱりそれは社会性に欠けるし、コミュニティの一員として人の迷惑になるから。でもそれでも、常に自分を大切にできない人って、やっぱり一緒にいても、他の人にも負担になると思うんですよね。

 

すごい示唆。

 

例えば、ずっと自分の話をする人って好きじゃないって言う人もいるし、自分のことを考えるのが嫌だって人もいると思うんですけど、私はそうじゃなくて、自分のことを考えるのは別に良いんじゃないかなって。他の人よりは過剰に自分の意識があっても、自分はそれでいいやって思う。

 

それが安藤ちゃんの価値観であり、美意識なんだね。

では、最後の質問。1on1 collegeって、どういう人にとっていいと思う?

 

うーん。やっぱり、話したい人。打ち明けられるタイプか、打ち明けられないから打ち明けたいタイプ。身の回りの人に自ら相談しに行けない人。どうだろうな、あとは、何か「欲しい」意識がある人。何かを不満に感じるか、何か自分の生活に不満を感じてて、改善したいけど、何かわかんない人。何かしら理想はあるけど、不満を感じてる人だったら、目的を持ってできるのかなって。その目的なく話してると、あまり成果が出ないような気はする。

 

 

安藤ちゃんでいう脳内整理みたいなこと?

 

そうですね。最近友達と話してると、みんなこういう話す相手がいた方が楽になるだろうなっていうのは思います。やっぱり大学受験のプレッシャーが大きくて、特にみんなAO受験か海外受験だから、パーソナルステートメントとか自分について考えて、自分がやりたいことを決めないといけないってなったときに、本当にわからない。そういう人たちは、積極的だけど、でも答えが出ないって人たちには、特にこういうプログラムは当てはまるのかなと思います。

 

 

出会った頃はとにかく話が長く(笑)、会話の中でもよく「何しゃべってましたっけ」となってましたが、今では激変し、驚くほどすっきり話すようになりました。本人も自覚あるようです。今年はもう受験生ですが、バリバリ衰えることなく活動中です。