佐々木 彩乃
大学3年生
「その瞬間に大事なものだけを」
半年前から、自分がコーチングをする側として活動をしてみて、コーチングの可能性を感じたし、それによって自分が変化することも、他人が変化することも、すごくいい機会だと思っていて。だからコーチングすることにも、自分がコーチングを受けることにも興味があって、行ったり来たりみたいな。
一方で、コーチングはライフスキルだなと思って、日常生活でも、家族に対しても、どんなシステムの中にいても役に立つ。そういう面でも面白いと思っています。自分がどこかの企業のピースにハマったときに、その置かれた場所でやるのもありだなって、両方の視点を持っている感じですね。
―就職するのも選択肢なんだね。
でもなんか、よく大企業とか、小さい会社とか言いますけど、どんなシステムの中にハマりたいかみたいなことかもしれないし。大きさとかに関わらず、どんなシステムか。
―おもしろいね。そんなことを思っているんだ。
そんなことを思っています。環境が自分に与える影響はかなり大きいじゃないですか。自分も変化したし、それによって変化した友達もいて、環境の与える影響、システムそのものが与える影響は大きいから、わたしにとってバランシングすることが重要なんだと思います。
―そのバランシングはもう少し説明すると、どういうこと?
バランシングって言うとちょっと難しく聞こえるかもしれないけど、自分に心地いい状態、コンフォートゾーンがどこかわかっていることかなと思います。他人との距離感ひとつにしても、どのくらいが心地いいのか自分でわかっている人は、ちゃんと自分のことを守ることができるから、自分の心地よさを保ててその場も楽しめる。人それぞれにそれがあることもわかるから、他人も尊重できる。どういう状態が心地いいかは、試行錯誤というか日進月歩じゃないですけど、調整していく。だから、定義としてあるわけではなくて、そのときによってやっぱり違います。
だけど、そういう意識がひとつあるだけでその視点を以って決断したり、断ったり、やってみようと思えたり。あえて言うなら、思考する時間、自分時間みたいなものは外せないですかね。それと同時に行動する時間も絶対に必要だと思っていて。インプットもアウトプットも必要である気がします。
―インプットとアウトプットには、どういうものがある?
わたしの場合、たとえば心理学の勉強も、組織運営も、どこかに向かっているわけではなくて、下のほうから繋がっているイメージです。だから、インプットがどういうものかというより、そのときになにをやっていて、次になにに繋がるか、みたいなやりかた。だから答えるのが難しいですね。
いまのわたしも、1年前には想像できなかったところにいるし、そういう生きかたを好むのかなと思います。1on1 collegeのひとつひとつのセッションでも、いまなにをしているかを見ている気がする。
―そもそもの心理学への興味ってどこからきているの?
AIU(母校の国際教養大学)のイベントで、選択理論心理学をベースに組織運営の指導をしている会社が、サークル代表者たちに、チームづくりについてお話をする機会があって、それがすごくおもしろかったのがきっかけですね。
わたしが代表を務めたV-ACT(学内のサークル)は、ひとりひとりの持つポテンシャルがすごくて、どうにか化学反応を起こしていいチームにしたいなって思っていました。もともと人が好きで、人の気持ちにもすごく敏感だったから、自分自身にも役立つなと思ったし、心理学という選択肢が頭になかったなかで、チームをつくる要素として選択理論心理学があるんだなと興味を持ちました。
―V-ACTの代表になったのは偶然だったって言ってたよね。
指名でしたよ、指名。びっくりしたんですけど、わたし。そんな気なかったし。
―そういう雰囲気もなかったの?
ないです、ないです。なんかもう、声も出なかったです。佐々木さんにお願いしたいです、って言われて。信じられなくて。でももう決めるのにもすごく時間がかかってたんですよ。人数はすごく多かったんですけど、同学年が20人弱いて、候補はめっちゃいたけど決まらなくて。みんな腹をくくりきれないとか、大事なこともあったとか、いろいろだと思うんですけど。それで先輩にお願いして話し合ってもらったから、だから、うん。これもご縁だなと思ってやりました。懐かしい。
―以前からチームのなかで化学反応を起こしたい、みたいな気持ちは持っていたの?
V-ACTは団体理念としても、その人を尊重する意識が強いサークルですね。決められたことをやるというより、こういうことがやりたいって人ありきの団体だった。
それに、同じ学年の子たちを普通に尊敬していたんだと思います。みんな行動力もあるし、ひとりひとりちゃんと考えかたも持っていて魅力的。本当に仲も良くて、お互いのことを気にかけているし、やりたいことも尊重し合える雰囲気がありました。それは、きっとV-ACTにいる理由が、ひとりひとりにあったからだと思います。ちゃんと自分で決めて、自分で入ってきた人たちだから、V-ACTとしてもまとまりがあるのかなって思う。
結果的には自分にもすごく大きな影響を与えてくれていて、大感謝です。
―代表になってV-ACTに貢献できた、あるいは自分ができたと感じることはある?
全員に興味持つことですね。基本的には、あんまり好き嫌いはしないタイプで、人の魅力を見つけるのが得意ですね。
―それはコーチングとも非常に相性がいいね。聞いていると、心理学や組織運営に興味を持つようになったのは、自然な流れだと感じるね。
たしかに。いまは自然の流れとも思えるけど、1年前はそれが見えなくて、わたしはどこに向かっているかもわからないまま、本当に目の前のことだけを、その瞬間に大事なものだけをやっていた。その結果がこうなったことは本当に嬉しいですし「よっしゃ!」と思います。
ひとつひとつの出来事を必然にできたのは、やっぱり自分の考えた時間と行動だなって。いまは思考したくない、経験として大きすぎて消化しきれないときもありますけど、それは保留して、あとでかみ砕ける大きさになってから噛み砕いたらいいやくらいに考える。でも、絶対に目を背けずにどこかには置いておいて、とやっていた気がします。それは1on1 collegeの続きでもあるし。
―そういうコントロールは心理学を学ぶ前からできていたの?
それでいいと思えたのは最近です。全部受け止めようとすると大変だし疲れちゃうから、保留でいいやと思えたのは心理学のおかげなのかな。
わたし、出会ってきた人の絶対数が多いんですよ。幼稚園も4つ通いましたし、小学校も1000人以上のマンモス校だったし、海外留学にも行ったので、いろいろな人と付き合ってきて、自分のコンフォートゾーンにいて欲しい人がどういう人なのかわかってきたと思います。自分と似た人は、わたしが好んできた経験や感情を持っている気がする。あとは同じ感情、似た感情を持った次のアクションと捉え方が近い人のことを、似ていると思うのかもしれない。それから、思いをどれくらいの期間持ち続けるのかも、似ている似ていないの判断にしているかもしれない。
気づきって、どういう要素が揃って気づきになるかも、それぞれ違いますしね。納得感もなにを揃えたら納得感になるかわからないから難しいですよね。わたしは初動も早いけど、納得感を揃えるのも得意かもしれない。
―それは言葉を変えると、自分の直感を信じているかどうかも関係あるかもね。
そうですね。転ぶことを怖いことだと思わないのは大きいかな。転ぶことを悪いことだと思っていないし、まわりにも悪いことだと捉える人がいなかったからかもしれない。
わたし、先生運は抜群に良くて、学年でいちばん人気の先生に当たることが多かったんです。担任じゃなかったとしても、気にかけてもらうことがすごく多くて、感謝している先生が多い。それこそいま懐かしく、エモくなりました。
(2020.10.30、学年は当時)